Hamadaベータ計算機
観測された株主資本ベータからモデル上の資金調達効果を除き、目標の負債資本比率でのベータを推定します。
仕組み
Hamada式は、観測された株主資本ベータを資本構成係数で割り、資産ベータを推定します。係数には入力した負債資本比率と法人税率を使います。資産ベータは、モデル上の資金調達効果を除いた事業のシステマティックリスクの推定値です。
目標モードでは、推定資産ベータに新しい負債資本比率を適用します。同じ事業リスクを保ち、目標とする資金調達を仮定した株主資本ベータを推定します。可能であれば市場価値を使い、測定日と定義をそろえてください。
負債資本比率は負債を株主資本で割った値です。0.50は負債が株主資本の半分であることを示し、総資本の50%ではありません。50ではなく0.50を入力します。税率は百分率で入力し、25は25%を表します。
これは簡略化した評価モデルです。負債ベータを0とし、利息の税効果に1つの税率を使い、負債比率が変わっても事業リスクは一定と仮定します。実際の税控除の可否、適切な資金調達構成、企業の将来ベータは判定しません。
手順
- 観測株主資本ベータ、現在の負債資本比率、税率を入力します。
- 推定資産ベータと、モデル上の負債効果を除くための係数を確認します。
- 目標構成を比較するには目標モードを選び、目標負債資本比率を入力します。
計算例
観測株主資本ベータ1.20、現在の負債資本比率0.50、税率25%を入力します。係数は1 + (1 − 0.25) × 0.50 = 1.375です。推定資産ベータは1.20 ÷ 1.375 = 0.87272727です。これは負債効果を除く例の初期値です。
目標モードで税率25%を保ち、目標負債資本比率1.00を入力します。目標係数は1 + (1 − 0.25) × 1.00 = 1.75です。推定目標株主資本ベータは0.87272727 × 1.75 = 1.52727273です。事業リスクを一定とし、モデル上の目標負債比率が高いため値も高くなります。
この計算機を使う場面
観測株主資本ベータからモデル上の資金調達効果を除く場合や、事業リスクを一定として目標負債資本比率でのベータを推定する場合に使います。データの定義がそろっていれば比較企業やプロジェクトの分析に役立ちます。
借入の推奨や完全な資本コスト分析として結果を使わないでください。資金調達の判断にはキャッシュフロー、負債条件、事業リスク、流動性、税務状況など、この式に含まれない要素も関係します。
よくある入力ミス
総資本に占める負債の割合ではなく、負債を株主資本で割った値を入力します。比率0.50は0.50、税率25%は25と入力します。比較ではベータ、負債、株主資本、税率の前提、測定日をそろえてください。
資金調達構成が異なる企業のレバードベータを、負債効果を除く前に平均しないでください。提供元がすでに負債効果を除いたベータを、観測株主資本ベータとして扱わないでください。小数点以下を増やしても比較企業やモデル前提の不確実性はなくなりません。
計算式
β_資産 = β_株主資本 ÷ [1 + (1 − T) × D/E]
β_株主資本,目標 = β_資産 × [1 + (1 − T) × D/E_目標]
Tは式では小数で表す想定法人税率です。D/Eは負債を株主資本で割った値で、可能なら市場価値を使います。標準式は負債ベータを0と仮定し、税効果を税率を1から引いた値で表します。
限界と前提
標準式は負債ベータ0、安定した税効果、負債比率が変わっても一定の事業リスクを仮定します。負債リスク、財務困難の費用、現金調整、事業構成の変化、リース、優先請求権、繰越欠損金の制限、国リスクはモデル化しません。株主資本ベータはデータ選択に左右される不確かな推定値です。重要な評価では複数の比較企業と異なる前提を検討してください。
用語
- 株主資本ベータ
- 企業の株主資本に対するベータ推定値です。Hamadaモデルでは事業リスクとモデル上の資金調達効果を含みます。
- 資産ベータ
- 株主資本ベータをモデル上の資本構成係数で割った値です。式の前提に従い資金調達効果を除いたシステマティックな事業リスクを推定します。
- 負債資本比率
- 負債を株主資本で割った値です。0.50は負債が株主資本の半分であることを示し、総資本の半分ではありません。
関連する計算
目標負債比率でのベータを推定した後、CAPM期待リターン計算機では無リスク金利と市場リスクプレミアムから株主資本コストを推定できます。加重平均資本コスト計算機は資金調達コストと資本比率を組み合わせます。Hamada式は負債比率の前提に合わせてベータを調整し、他の計算機は別の評価項目を扱います。
ポートフォリオベータ計算機は投資ポートフォリオのベータ推定値をまとめます。Hamadaベータは企業やプロジェクトの資金調達比較向けです。どちらも異なる出所の測定日、指数、定義の一致は確認しません。
よくある質問
なぜベータから負債効果を除くのですか?
株主資本ベータには事業リスクとモデル上の資金調達効果が反映されます。資金調達効果を除くと、負債水準が異なる企業の事業リスクを比較しやすくなります。資産ベータも、事業の比較可能性と式の前提に依存する推定値です。
どの株主資本ベータを入力すればよいですか?
分析目的に合う指数、期間、頻度で観測された株主資本ベータを入力し、出所と日付を記録してください。提供元によって回帰期間や調整方法が異なるため、同じ数値でも意味が異なる場合があります。非上場企業では、1社のベータを決定値とせず、複数の上場比較企業を検討することがあります。
負債資本比率はどう測りますか?
負債を株主資本で割ります。このモデルでは、利用でき、定義が一貫している場合は市場価値を使うのが一般的です。負債50、株主資本100なら比率は0.50です。負債は合計の半分ではなく3分の1です。リース、優先請求権、現金の扱いは評価方法に合わせて一貫させます。
税率は式にどう影響しますか?
係数では税率を1から引き、利息の税効果を仮定します。これは代数上の前提であり、実際の納税額や控除を利用できることの予測ではありません。式は100%も受け付けますが、借入が無コストになることや税効果を全額利用できることを意味しません。
いつ目標負債比率でベータを推定しますか?
目標モードは観測企業から計算した資産ベータに新しい負債資本比率を適用します。異なる資金調達を仮定した企業やプロジェクトの比較に使えます。複数社を使う場合は各社のベータから負債効果を除き、資産ベータをまとめてから目標比率を一貫して適用します。
関連ツール
株主資本コストのシナリオにはCAPM期待リターン計算機を、複合的な資金調達コストには加重平均資本コスト計算機を使えます。ポートフォリオベータ計算機は投資ポートフォリオのベータを測り、企業の資金調達に応じた調整は行いません。